公開日 2024年06月26日
不適切な飲酒は、体や心の病気・事故につながります
「一人ひとりがアルコールに関する問題への関心と理解を深め、自ら注意を払って不適切な飲酒を減らす」ことを目的に、厚生労働省が「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました(令和6年2月作成)。
生活習慣病のリスクを高める純アルコール量(1日あたり)は男性40グラム以上、女性20グラム以上と示されています。
また、節度ある適度な飲酒としては純アルコール量(1日あたり)20グラム以内が勧められています(健康日本21)。
この機会に普段の飲酒量を確認してみませんか?
純アルコール量の計算方法
純アルコール量=摂取量(ミリリットル)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)
純アルコール量20グラム=1合の目安
ビール500ミリリットル・焼酎90ミリリットル(25度2分の1合)・日本酒180ミリリットル(1合)・ワイン200ミリリットル・ウイスキー60ミリリットル(ダブル)
1日あたりの飲酒量(純アルコール量)と発症リスクが上がる疾病
アルコールは血液を通じて全身に巡り、全身の臓器に影響を与えます。
影響の大きさは年齢、性別、体質等個人差があります。
下記は1日あたりの飲酒量(純アルコール量)と発症リスクが上がる疾病の関連について厚生労働省の研究結果で示されたものです。
男性
少しでも…高血圧・胃がん・食道がん
20グラム以上…脳出血・大腸がん・前立腺がん(進行がん)
40グラム以上…脳梗塞・肺がん(喫煙者)
60グラム以上…肝がん
女性
少しでも…高血圧・脳出血
11グラム以上…脳梗塞
14グラム以上…乳がん
20グラム以上…胃がん・大腸がん・肝がん
大田原市民の飲酒の状況
令和5年度の大田原市の特定健診の結果を見ると、飲酒量に対する回答は下記のとおりでした。
1合(適量)より多く飲んでいる方の割合が国や県と比較しても、大幅に高いことがわかります。
1日飲酒量 | 大田原市 | 県 | 国 |
1合未満(適量) | 46.6% | 59.5% | 63.6% |
1合から2合 | 42.5% | 28.9% | 23.9% |
2合から3合 | 8.1% | 9.1% | 9.6% |
3合以上 | 2.9% | 2.5% | 2.9% |
アルコールに関連したお悩みがある場合には、健康政策課成人健康係にご相談ください。
健康相談会でも相談することができます(下部リンク参照)。
アルコールと糖尿病
令和5年度の特定健康診査の結果を見ると、受診者の方の約7割が高血糖を指摘されています。(40歳から74歳までの国民健康保険加入者)
下記のとおり、アルコールが糖尿病の原因となるリスクがあるため注意が必要です。
お酒の適量とおつまみの量に注意しながら、お酒を楽しみましょう。
脂肪肝
アルコールの取りすぎは肝臓への脂肪の蓄積(脂肪肝)の原因になります。脂肪肝になると、肝臓での糖の取り込みがしづらくなります。
内臓脂肪の蓄積
飲みすぎ、食べすぎによる過剰なエネルギー摂取は、血糖値を上げ、内臓脂肪の蓄積によりインスリン(血糖値をさげるホルモン、膵臓から出る)が効きづらくなるため、血糖値が下がりにくくなります。
インスリン分泌の低下
長期間の飲酒によりインスリン分泌が抑えられるため、血糖値を下げにくくなります。
アルコールによる影響は個人差があります
高齢者
加齢に伴い体内の水分量が減少するため、アルコールの影響を受けやすいです。飲酒による転倒・骨折、筋肉の減少、一定量以上の飲酒量で認知症発症の可能性があります。
女性
男性よりも体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量が少ないです。また、女性ホルモンなどの働きによりアルコールの影響を受けやすいです。
体質
アルコールの分解酵素のはたらきが弱い場合、長年飲酒して不快にならず飲酒できるようになっても、口の中のがんや食道がんのリスクが非常に高くなります。
上手にアルコールと付き合いましょう
- 自分の飲酒状況を知る…かかりつけ医に適量を相談してもよいでしょう。
- あらかじめ飲酒する量を決める。
- 飲酒前または飲酒中に食事をとる…血中のアルコール濃度が上がりにくくなります。
- 飲酒の合間に水または炭酸水を飲む(水を混ぜてアルコール濃度を低くする、少しずつ飲酒するなど)…アルコールがゆっくり分解・吸収されます。
- 1週間のうち、飲酒しない日を設ける…毎日飲酒した場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があります。
危険な飲酒習慣
- 短時間の多量飲酒(一度の飲酒機会に純アルコール量60グラム以上の摂取)
- 他人に飲酒を強要する
- 不安や不眠を解消するための飲酒
- 病気療養中の飲酒や服薬後の飲酒
- 飲酒中または飲酒後の運動・入浴
健康日本21(第三次)では「生活習慣病のリスクを高める量(純アルコール量:男性40グラム以上、女性20グラム以上)飲酒している者を10%に減少」を目標としています。
これらを踏まえた上で、健康に配慮した飲酒を心がけ、飲酒の際には個々の状態に合わせた飲み方をしていきましょう。