公開日 2025年09月17日
大田原市出身の大関和をモチーフにしたNHK連続テレビ小説「風、薫る」が2026年春から放送予定
大関和(おおぜき ちか)と鈴木雅(すずき まさ)、この2人のトレインドナースをモチーフに描くバディドラマ「風、薫る」の放送が決定しました。
この大関和をモチーフにした主人公の一人「一ノ瀬りん」役は、女優の見上愛さんが務めます。
そして、大関和は大田原市(黒羽地区)で生まれ育ちました。
大関和(おおぜきちか)とは?
(注意)画像は医療法人知命堂病院所蔵(無断転載禁止)
- 生まれた年 安政5年(1858年)
- 亡くなった年 昭和7年(1932年)
大関和は、幕末期の黒羽に生まれた我が国看護界の先駆者で、日本最初の正規の訓練を受けた看護師(トレインドナース)の1人です。
大関和の功績
1 看護技術の向上や後輩看護師の育成に尽力しました
看護師として働くだけでなく、知命堂病院(新潟県上越市)の産婆看護婦養成所等では講師も務めました。
2 感染症対策と公衆衛生の普及に尽力しました
コレラや赤痢などの感染症は、多くの人々の命を奪う恐ろしい病気でした。和は、看護学校で学んだナイチンゲール方式にもとづき、排せつ物の正しい処理、丁寧な清掃と換気、患者の身体や衣服を清潔にすることを徹底し、大きな成果をあげました。
3 看護師の仕事やその存在の重要性についての普及にも尽力しました
『派出看護婦心得』や『実地看護法』を刊行するなど、著書の刊行や雑誌への寄稿を通して看護師の重要性や意義、看護の実践方法等について普及啓発を図りました。
主な著書
- 『看護婦派出心得』明治32年(1899年)刊行(国立国会図書館デジタルコレクションより)
- 『実地看護法』明治41年(1908年)刊行(国会図書館デジタルコレクションより)
[注意]上記の書籍名を押すと、「国会図書館デジタルコレクション」の公開ページに進みます。
大関和のあゆみ
和は安政5年(1858年)4月11日、黒羽藩重臣で石高200石の大関弾右衛門増虎(だんえもんますとら)・テツ夫妻の次女として、黒羽田町に生まれました。父増虎は元治元年(1864年)2月、黒羽藩主大関増裕(ますひろ)のもとで家老に就任し、活躍しましたが、慶応3年(1867年)12月の増裕の急死後、同4年3月に辞職しています。その後、一家で上京したようですが、黒羽藩の藩制改革により、増虎は家知事となり、和も黒羽に戻ったと考えられます。
明治9年(1876年)5月、増虎は50歳で死去しますが、この年、和は渡辺豊綱(わたなべとよつな)(1838‐1925)と結婚しています。和は、明治10年に長男六郎を産み、同13年に長女シンを産んでいますが、豊綱とは離婚となりました。
和は、明治14年(1881年)に上京し、英語習得のために正美英学塾に通うなかで知遇を得た植村正久牧師の勧めにより、同20年1月、桜井女学校附属看護婦養成所に入学し、その第一期生(鈴木雅など6人)の一人となりました。明治21年(1888年)10月26日に看護婦養成所を卒業した和は、そのまま帝国大学医科大学第一医院(現東大病院)の外科の看病婦取締(看護婦長)となりました。明治23年には退職の上、年末、新潟県の高田女学校舎監兼伝道師として同校へ赴任しています。その後、明治29年夏、東京に戻り、秋には東京看護婦会講習所講師となります。
明治32年(1899年)6月には、自身の著書『派出看護婦心得』が刊行され、同34年には、東京看護婦会会頭に就任しています。明治40年10月には、病気療養のため那須湯本に逗留しており、この間、著書『実地看護法』の原稿執筆を開始するところとなりました。同書は翌明治41年4月、秀英社から刊行されています。
和は明治42年(1909年)11月3日、大関看護婦会を設立し、大関看護婦講習所を開所しており、後進の育成と派出業務を通した実践活動に専念しました。さらに明治44年には、大日本看護婦協会東京組合長に就任となりました。晩年は、脳溢血で不随の2年間を病床で過ごし、昭和7年(1932年)5月22日、74歳で死去しました。
広報連載記事 「明治のナイチンゲール」大関和をたどる
大関和の事績や本市の医療の歴史について紹介する記事を『広報おおたわら』で連載しています。
以下のリンクからもご覧いただけます。
- 第1回「大関和とは 時代背景と人物紹介」[PDF:647KB]
- 第2回「大関和、殿さまの謎の死を語る」[PDF:713KB]
- 第3回「企画展『明治のナイチンゲール大関和のふるさと黒羽と医療』開催」[PDF:971KB]
イベントのお知らせ
NHK連続テレビ小説「風、薫る」の原案『明治のナイチンゲール 大関和物語』の著者である田中ひかるさんをお招きし、大田原市女性団体連絡協議会の「一人ひとりが輝く大田原のつどい」と共催で講演会を開催します。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
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