公開日 2025年10月01日
令和7年度税制改正の概要
令和7年度税制改正において、物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整対策の観点から、給与所得控除の見直し、同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額に係る要件等の引上げ、大学生年代の子等に関する特別控除(特定親族特別控除)の創設が行われました。
これらの改正内容は、令和7年中(令和7年1月1日から12月31日まで)の収入に基づく令和8年度の個人住民税から適用されます。
1 給与所得控除の見直し
給与所得者に適用される給与所得控除について、給与収入金額が190万円以下の方の最低保障控除額が最大10万円引き上げられます。
給与収入金額が190万円を超える場合の改正はありません。
給与の収入金額 | 給与所得控除額 | 引上げ額 | |
改正前 | 改正後 | ||
162万5千円以下 | 55万円 | 65万円 | 10万円 |
162万5千円超 180万円以下 | 給与等の収入金額×40%-10万円 | 10万円から3万円 | |
180万円超 190万円以下 | 給与等の収入金額×30%+8万円 | 3万円から0万円 | |
190万円超 360万円以下 | 改正なし | - | |
360万円超 660万円以下 | 給与等の収入金額×20%+44万円 | ||
660万円超 850万円以下 | 給与等の収入金額×10%+110万円 | ||
850万円超 | 195万円(上限) |
2 各扶養控除等に係る所得金額の要件の引上げ
各種扶養控除等の適用を受ける場合の所得要件額が10万円引き上げられます。
要件 | 改正前 | 改正後 | ||
合計所得 金額等 |
給与収入 | 合計所得 金額等 |
給与収入 | |
扶養親族及び同⼀⽣計配偶者の合計所得⾦額 | 48万円 | 103万 | 58万円 | 123万 |
ひとり親の⽣計を⼀にする⼦の総所得⾦額等の合計額 | 48万円 | 103万 | 58万円 | 123万 |
勤労学⽣の合計所得⾦額 | 75万円 | 130万 | 85万円 | 150万 |
雑損控除の適用を認められる親族に係る総所得金額等 | 48万円 | 103万 | 58万円 | 123万 |
家内労働者の特例における必要経費に算入する金額の最低保障額 | 55万円 | - | 65万円 | - |
3 特定親族特別控除の創設
従来より、納税義務者に大学生年代の子等(年齢19歳以上23歳未満の親族)がいる場合、合計所得金額48万円までは扶養控除(特定扶養親族)として45万円の所得控除が受けられていましたが、扶養親族の所得要件の引上げと併せて、合計所得金額が58万円を超える場合でも控除額が合計所得金額に応じて逓減(徐々に減少していく)していく仕組みが新たに設けられました。
(注意)「特定親族」とは、所得割の納税義務者と⽣計を⼀にする年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者、⻘⾊事業専従者として給与の⽀払を受ける⼈及び⽩⾊事業専従者を除きます。)で合計所得⾦額が58万円超123万円以下の⼈をいいます。
なお、親族には児童福祉法の規定により養育を委託された、いわゆる里子を含みます。
(注意)特定親族は扶養人数には含まれません。
(注意)大学生であっても年齢要件を外れる場合、特別控除の適用はありません。
控除区分 | 合計所得金額 | 給与収入金額 | 控除額 | 扶養人数 | |
改正前 | 改正後 | ||||
扶養控除 |
48万円以下 | 103万円以下 | 45万円 | 45万円 | 含まれる |
48万円超 58万円以下 | 103万円超 123万円以下 | 0円 | |||
特定親族特別控除 |
58万円超 95万円以下 | 123万円超 160万円以下 | 45万円 | 含まれない | |
95万円超 100万円以下 | 160万円超 165万円以下 | 41万円 | |||
100万円超 105万円以下 | 165万円超 170万円以下 | 31万円 | |||
105万円超 110万円以下 | 170万円超 175万円以下 | 21万円 | |||
110万円超 115万円以下 | 175万円超 180万円以下 | 11万円 | |||
115万円超 120万円以下 | 180万円超 185万円以下 | 5万円 | |||
120万円超 123万円以下 | 185万円超 188万円以下 | 3万円 |
4 住民税と所得税の課税関係
住民税と所得税の基礎控除等の要件の違いによって、課税非課税、及び扶養親族等の基準が異なりますのでご注意ください。
特に給与収入160万円までは所得税非課税となりますが、住民税は課税、扶養親族の対象外となります。
また社会保険の加入義務や各種給付、手当等については別途基準が設けられておりますので、詳しくは各担当窓口へお問い合わせください。
合計所得金額 | 給与収入金額 | 住民税 | 所得税 | 扶養親族等 | |
均等割 | 所得割 | ||||
38万円以下 | 103万円以下 | 非課税 | 非課税 | 非課税 | 対象 |
38万円超 45万円以下 | 103万円超 110万円以下 | 課税 | 非課税 | 非課税 | 対象 |
45万円超 58万円以下 | 110万円超 123万円以下 | 課税 | 課税 | 非課税 | 対象 |
58万円超 95万円以下 | 123万円超 160万円以下 | 課税 | 課税 | 非課税 | 対象外 |
95万円超 | 160万円超 | 課税 | 課税 | 課税 | 対象外 |
(注意)いずれも扶養親族等なし、障害、ひとり親、勤労学生に該当しない場合の表となります。
5 税制改正関連情報リンク
- 総務省ホームページ「税制改正(地方税)」(外部サイト)
- 国税庁ホームページ「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」(外部サイト)
- 財務省ホームページ「令和7年度税制改正の大綱」(外部サイト)
- 財務省ホームページ「税制改正の概要」(外部サイト)
