那須野が原国際彫刻シンポジウムin大田原2003

公開日 2011年02月15日


作品名 Bound
作者名 クリスチャン ヒンツ
設置場所 下石上公園
作者コメント
 何処へ行こうとも、人は単なる訪問者に過ぎない。しかし、ちょっとした巡り合わせで人と人との繋がりができる。このシンポジウムがまさに一期―会の始まりだった。お互いを知り合えるまでさしたる時間はかからなかった。
 私の作品は二つの木の物語。その木は普段、採石工場の中で大きなタイヤモンドカッターが石を切る時、石の下敷きとなるもの。機械が切断を終わる度、木の表面には同じ小さな傷が残る。繰り返し使われ、この木は変型し、思いもよらない形になる。その木を始めて見た時、私の中に性質の異なる二つの交わりという発想が過った。黒と白の二つの石に溝(幅3cm、深さ6cm)を彫る。無数に彫られた溝はどこかで二つの石を結びつける。それこそがまさに、人々の調和と関係が始まるところなのである。石の表面に刻まれた傷のように、人生にはいくつもの経験が刻みこまれている。人はその経験を姿に見る事はできないが、内に抱え、似た状況下におかれることで再び思い出す。
 大田原でのこのシンポジウムは人々を繋ぎ、それぞれの経験と観念が交わる場となった。そしてまた、物語はここから新たな場所へと続いてゆくのである。



作品名 おんな
作者名 松﨑 織子
設置場所 保険センター
作者コメント
 原木の持つエネルギーに
 圧倒され口をつぐむ。

 溢れてくる木の魅力を
 感じながら
 毎日木にむかった。

 ひとりのおんなとして
 たくましく生きたい。



作品名 雲と地表のあいだ
作者名 堤 一彦
設置場所 湯けむりふれあいの丘
作者コメント
 古代から人は自然からの寓意と啓示に満ちた神話をつくり、それらは無文字の伝承として伝えられてきました。こうした人が自然に抱く基層としての感性は現代では失われつつあります。彫刻は人と自然の原初的な関わりのあり方を象形のかたちではなく、祭祀や信仰の中に棲む常世の木としてイメージしています。恃むのは彫刻を成立させる手探りの思索と行為がやがて豊かな感応となって広がっていくことを願っています。



作品名 湿地・風の痕跡
作者名 菅野 泰史
設置場所 親園地区公民館
作者コメント
 湿原に点在する水溜まりは、その鏡面のような水面に周囲の景色を写し込み、時にその映像と実在する自然との境界をなくし虚実を一体としてしまう。

 過剰な映像と情報の氾濫する現代社会も、時にそのあまりにも過剰な情報量からフィクションとノンフィクションとの違いを解りづらくし、私の存在するリアリティーを曖昧にし、意識を浮遊させる。

 その曖昧なリアリティーの境界面と、浮遊する意識の乗り物として舟の形を視覚化し、存在する曖昧さそのものを実体化する。点在する鏡面のような水面の上に風が吹けば、水面が揺らぎその境界面が見える。

 この舟の上にたなびく風が、浮遊しやすい意識を現実に繋ぎ止める数少ない手がかりになり、存在することの豊かさとその可能性を再認識するきっかけになれ、きっと見失いがちな道を見つけられるようになるのではないだろうか・・・・。



作品名 生・記録
作者名 酒井 良
設置場所 金田北地区公民館
作者コメント
 まず石を眺める、
 石から受けたイメージにそって形を考える、
 この方法で制作を繰り返してきました。

 石の中の何かと、私の中の何かが、
 直感で結びついた瞬間に形が生まれます。

 この作品の中に一番正直な今の私自身が潜んでいます。



作品名 僕はもう飛べない
作者名 フルヴィオ メローリ
設置場所 東地区公民館
作者コメント
 オデッセイとイーリアスのパトス(激情)とミトス(分裂)からアリストテレスとプラトンの哲まで、またフェイディアスの彫刻からプラクシテレスまで、これらにギリシャ神話の初期を見る事が出来る。それは、この地中海という地が地理的に人々が定着しやすく、文明の基盤となりえたからである。
 悲劇の真実と伝説で綴られる神々と英雄の物語は、この光と塩の下で語られ、そこにはミトスとパトスが混在する。ここでは人が空へ羽ばたく術を知り、大軍との闘い方を知り、神話の創造物を知る。そして何千年もの間、人々がたとえ死に至るとも困難の海に挑んだ地なのである。突然の死を迎えようと、踵に矢が刺さろうとも、また翼が熔けるまで太陽に近づいたとしても、そこには彼らの文化の源がある。
 私の作品は、神々や英雄よりも間に焦点をあてた彼らの世界の断片である。息子の亡骸を抱き太陽を正視する父親。その太陽は命の起源であると同時に死の執行者であり、生と死をその手に握る異端の神なのだ。イカロスとダイタロス、父と息子、生と死の年譜。自らの発明の為に息子の死を見届けた父親。若い彼は太陽に触れずにはいられなかった。それが彼に死を招くと知りながら。叶わぬ事を知りながら、彼は美しく、燦々と輝く夢に身を投じる。そして彼の夢は語り継がれ、永遠の神話になるのである。



作品名 旅
作者名 小山 育
設置場所 ふれあいの丘シャトーエスポワール
作者コメント
 古代の西洋文化に憧れ、その古代への想いを馳せる「旅」ということで、制作をしています。この現代において、何千年も前の文化に出会った時に、新しい印象を受けることがあります。その瞬間をいつも大事にしています。歴史を振り返ることは、現代を見つめることだと思うし、そこで感じたことを未来に託すことが、制作するときにとても大事なことだと考えています。
 長い歴史の軸を引き、そこに方向性を出し、現代の視点を置く。その視点に立ち止まって、無限に広がる軸の重なりと、その上に築かれてきた数多くの文化を感じ取ってもらいたいと思っています。

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