公開日 2011年02月15日
作品名 杜のフォルム(記憶の杜)
作者名 日原 公大
設置場所 ふれあいの丘シャトーエスポワール
作者コメント
子供のころに良く遊んだ鎮守の社は、今は見当たりませんが僕の記憶の中で鮮明に残っています。その場所には大きな道路ができ、車がひっきりなしに走っています。当時、町並みを少し外れると、ひんやりと湿った空気はいつでも緊張と冒険の世界を与えてくれるのです。
そこはトムソーヤやヘンデルとグレーテルの話のような、素晴しい世界が広がっていました。社の中の子供たちは正義の木刀や盾で悪魔と戦ったものです。そしてその中で自然の不思議さ大切さを学び、友達や動植物に友情と愛情を育みました。しかし、時が過ぎ気がつくと、その社は小さくなり数も減っているのです。そこで今回、私は子供のころに遊んだ記憶の社を彫刻として再現し不変の社を造りました。
さて、この社の中で正義の刀と盾は見つかるのでしょうか… 。
作品名 Mind Forest-石の霊という森を食べた年-
作者名 用澤 修
設置場所 ふれあいの丘シャトーエスポワール
作者コメント
マダガスカルで羽ばたく蝶が、2ヶ月後カンザスでひょう嵐の原因となっているかもしれない。この蝶効果とでも呼ぶベきものは本質的にスケールリンキングの効果を持っているといいます。東南アジアのノンガ族はいくつかの森を狩猟しながら生活し、ある年は「虎の川の森を食べた年」という風に時間と空間の概念を強く結びつけながら一つの森だけを搾取することはありません。ある場所に住む人々の集積された記憶はその場所のもつ限界と可能性について効果的な指針を生みだすのです。
科学や芸術の全ての様相はもともと生態学的に関連しており、その場所性を形成する要素である、あらゆる環境や施設や人々について綿密な研究をする事、その土地がどうありたいのかという自然界の言葉に耳を傾ける事が、これからは非常に重要となってゆくと思います。この作品のアーチ全体は部分であるキーストーン(要石)の中にあり、そのアーチもまたその部分であるキーストーンの中に入れ子状にミクロとマクロヘ広がってゆきます。
全体は部分の中に存在し、全ての行動は地球規模のみならず宇宙規模の意味を持っています。この地を訪れた人々個々の心の中に生じた極微の相互作用は、大きいスケールに影響を与えるところまで拡大しうるのではないでしょうか。
作品名 はずむ心
作者名 中山 尚子(なかやま ひさこ)
設置場所 ふれあいの丘シャトーエスポワール
作者コメント
私は今、女性の体のまるみや、なめらかな曲線、柔らかさを美しいと考えています。そこで、人体をイメージしながら、そのまるみを強調した石の彫刻をつくりたいと思いました。
石は硬く、どっしりとした重量感があります。その中に、見ていて楽しくなるような、うれしくて弾むような気持ちを表現したいと思いました。そして、ゆったりとした動きのあるまるい形を、柔らかい感じに仕上げたと思います。
そんな事を考えながら、人体をイメージして制作しましたが、見る人が、何に見えるか、いろいろ想像してくれたらうれしいです。
作品名 森のうた-若葉のころ-
作者名 飯村 直久
設置場所 ふれあいの丘シャトーエスポワール
作者コメント
少年時代、“自然”を遊びの場にしていた。私にとって特に“森”は魅力的な場所であった。
新芽の力強い生命の息吹に喜びを覚え、夏には、森を流れる清流に足を入れ、時を忘れて魚とりに夢中になっていた。秋、私たちは、細い木やつるに登り、あけびやかきの実を取り、遊んでいた。
年が経つにつれそんな機会も減り、優しく包んでくれた森を遠くから眺めることが多くなった。 しかし、私にとって今でも森に行けば、森の澄んだ空気と共に少年だった頃の思い出が甦って来る。そこは、いつ帰っても、懐しさと共に夢や希望を与えてくれる場所なのかもしれない。そんな思いを作品を見てくれた人が少しでも感じ、だれもが持っている少年、少女時代の日々を思い出してくれたらと思い制作をした。
作品名 風標
作者名 登坂 秀雄
設置場所 ふれあいの丘シャトーエスポワール
作者コメント
ふれあいの丘の緩やかなエレベーションを持つ芝生の広場、そこを吹き抜ける風が、子供たちを誘い、私たちを通り抜け、大空へ向かつて視野を広げる。大地から掘り起こした一つの石に窓を開け、風を通し、(吸収をさせて)積み上げる。
第一の窓は、体感の窓、子供のプレイングスカルプチャーとして、体感導線を持つ、丘を駆け下りる子供たちがこの窓を通り抜け、石のマテリアルを肌で感じてくれたらと思う。
第二の窓は現風景を記憶に留める窓。第三の窓は空への指向性を持つ希望の窓。
そして最後にくり抜かれた石(=原石の中心だった石)は、鳥たちへのプレゼント。こうして交互に積み重ねられたこの彫刻は生き物たちの宇宙軸、風標としてこの丘に据える。